読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

徒然なるままに

徒然なるままに、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくっていくブログ。

来客ハネムーン

家に「奴」が現れた。

f:id:rubbish8118:20150518030012j:plain

今までなんども「奴」の話は耳にしてきた。
マンガからアニメ、2ちゃんのまとめなど、話の中ではいく度となく登場してきた「奴」。
長い歴史、多くの人に恐れられてきた「奴」。

そしてついに、「奴」と家で対面する日が来てしまった。

その出会いについて語れば、少し長くなる。

まず私は、うんちをしていた。
最近の野菜不足のせいかあまり質のいいものではなかったことも覚えている。
「食生活を改めなくては」と反省していると、足元に羽虫が飛んでいることに気付いた。
でかい。その辺にいる手足だけ長い奴らとは一味違う風格を持った羽虫だった。すっげーブンブンいってるし。なんだお前は、夜道バイクを乗り回すヤンキーか。補導されろ。
私はあまり虫に物怖じしない人間ではあるが、用をたしてる間となるとさすがに動揺を隠せなかった。
下半身真っ裸のまま虫を捕まえようとするが、虫はフルちんの私を嘲笑うかのようにヒラリと手をすり抜け、天井の方へと逃げて行った。

そうして射程外に逃げられどうしようかと天井に目線を移したその時だった。

見慣れない、黒い物体が、天井の端に、まるで漆黒の北極星のように、じっとたたずんでいた。


そう、「奴」だった。

飛ぶ羽虫への恐怖心など、一瞬で忘れてしまった。

それほどまでの、圧倒的恐怖、そして絶大なる存在感。

密室の中には俺と羽虫と「奴」、そして質の悪い便。

そこにあるのはまるで戦場のような緊張感。

とりあえず冷静さを取り戻すために、私はトイレを流した。
質の悪い便とともに、恐怖心がほんの少し水に流されていった気がした。

水がトイレに吸い込まれる音を聞きながら、この状況をどう打開するかを私は考えた。
まず思いついたのは、とりあえずパンツを履くことだった。

なんでこんなタイミングで出てきたんだこいつらは?まさに「泣きっ面に蜂」というか「泣きっ面にG」というか、このGが蜂だったらまだ気持ちは楽だったろうか、いや蜂は蜂でやだなあ、なんてことを考えながら私はパンツを履いて、その部屋を後にした。

対策をゆっくりと考えるためにも、彼らは密室に閉じ込めておくのが賢明だろうと判断した。

外で見つけた時は掴んで草の茂みに投げ捨てるほどに余裕があるのに、家で見つけるとどうしてこうも恐ろしいのだろうか。


こういう時に頼れるのがGoogle先生だ。「ゴキブリ 対処」と検索すれば、対策方法が山のようにでてくる。これから「奴」も山のように出てこなければいいのだけど。

そして検索して見つけた幾つかの対策方法は
  1. スリッパや雑誌で叩きのめす
  2. ファブリーズとかをふりかける
  3. 洗剤をかける
  4. 熱湯をかける
といった対策方法が見つかりました。

できればなにも汚さないで済む2〜4の方法を試したいが、何せ相手は天井にいるため、ファブリーズをかけても私が除菌されるだけだし、熱湯をかけようとすれば間違いなく惨事になるため、仕方なく雑誌で叩きのめすことにしました。

そしていざ、戦場へと戻ろうとした時、私は大きなミスをしていることに気がついた。
あの時は賢明だと思った、「奴」らを閉じ込めるという考え。
当然もう一度トイレに入るためにはドアを開けなければいけないわけだが、

めちゃくちゃ怖い。

移動してたらどうしよう、つーか飛び出してきたらどうしよう?
不安が不安を呼び、ドアがどんどん重く感じる。
心境はバイオハザードの扉を開けるシーンに近い。
f:id:rubbish8118:20150518015452j:plain
とにかく怖い


しかしこれからトイレを開かずの間にするわけにもいかないので、意を決して突入。

あまりの緊張感に「ウワァ〜〜www」と変な声が出ました。

そして、恐る恐る、そっとトイレの中を覗き込んだ。
その姿はまるで呻き声のなる羅生門の上を覗き込む下人の様であったかもしれない。
開けたその先にいるのが「奴」ではなく死人の毛を抜く老婆だったらどれだけよかったかとも考えたが、やっぱそれはそれで嫌だなあと思いつつ天井を確認すると、居た。
相変わらず不気味にもじっと動かずに固まっている。
そして一方羽虫はめっちゃ飛んでるし。なんだこの状況。
小次郎との一騎打ちを制した宮本武蔵でさえションベン漏らしそうな緊張感の中、私はこの状況をどう打破するかを考えた。

まず倒すべきは羽虫。
こいつの煩わしさといったらない。
本命の「奴」に意識を向けていても、羽虫がブンブンいってると気が散って仕方が無い。
私は基本RPGゲームでもザコを全員処理してからボスを倒すタイプだ。
ザコの羽虫を処理してから「奴」をしばき倒そうと考えた。

早速羽虫を倒そうと、壁に止まっているところに一撃をお見舞いした。
が、すんでのところでパンツ姿の私の一撃はヒラリとかわされてしまった。

不覚を感じながらもチラリと本命の「奴」の姿を確認してみると。


f:id:rubbish8118:20150518021009j:plain

ち ょ っ と 移 動 し て る

うわ、マジか。
ほんの少しだけど移動してる。
ほんの少しの移動だが、私への精神的ダメージは絶大だった。
月での小さな一歩は人類において大きな飛躍であるように、この密室での「奴」の一歩は、とても大きなものなのだ。

つーかほんとにアレってGなのか?実はクワガタのメスだったりしねーの?とか現実から目を背けようとしましたが、頭には立派なアゴではなく揺れ動く触手が二本。まぎれもなく「奴」なわけで。

もう、ここまで来たら勝負を決めるしかない。
意を決して、私は「奴」へと一閃、剣を抜いた。
f:id:rubbish8118:20150518023316j:plain

しかし、全力で振ってしまっただけに、木っ端微塵に吹き飛ぶ「奴」の姿を想像したせいか、その一閃はわずかに下を捉えてしまった。

無論焦り、動き回る「奴」。

それとは逆に、凍りつく私。
先ほどじっとしている「奴」を「不気味」と表現したが、動き回る「奴」は、不気味どころの話ではなかった。

もはや、神秘。なんだあの滑らかさ。ほんともはや神秘的。
f:id:rubbish8118:20150518023944j:plain
(イメージ画像)

「奴」がなぜここまで恐れられているかが、この時初めて理解した気がする。
人間は人知を超えたものに対し、畏怖せざるを得ないのだ。


しかし、このままこいつを逃がせば、私がこの家で安眠できる日は二度と来ないだろう。
f:id:rubbish8118:20150518024410j:plain

勇気を振り絞り、さらにもう一閃。
ついに私の剣は、「奴」を捉えた。
ポトリと床に落ちる「奴」。
しかし、まだ息の根を止めるにはいたっていなかった。

そこにとどめと私はファブリーズを振りかけ、洗剤をその上に発射して、熱湯をぶちまけました。

完全にオーバーキルをかましてやり、息の根を止め、勝利を収めた私。

残りのザコも瞬殺し、私のトイレには再び平和が訪れた。
これでなんとか、用を足す度にコンビニに行く事態は避けることができた。

これにて一件落着。

そうして私は床がお湯で洗剤とファブリーズだらけになったトイレで呆然と用をたすのであった。

おしまい。